第2036回例会 米山奨学生卓話「自己紹介&ボランティアから米山記念奨学生へ」
いつもお世話になっております。米山記念奨学生の李逍宇と申します。この度、お時間をいただきありがとうございます。今回の卓話では、私の自己紹介と大学時代におけるボランティアサークルを参加した経験や米山奨学生となってからのことをお話しさせていただきたいと思います。
まずは簡単な自己紹介をいたします。私の名前は李逍宇(リショウウ)と申します。「ショウウ」と呼んでください。「逍宇」は中国語で「宇宙で逍遥する」という意味が込められています。「逍遥」は漢文で「気ままな生活を楽しむさま」で、両親は私が将来、やりたいことをやり、いきたい場所にいき、心配なく幸せに生きてほしいという願いを込めて、この名前を付けてくれました。
私の出身は中国の山東省聊城市の出身です。山東省は中国の北東部に位置し、天候は広島と比べて寒く乾燥しています。私の故郷である聊城市は山東省の西部にあり、中国の華北平原に位置しています。土地が平坦で肥沃なため、農業が盛んで、果物や野菜がとても安く手に入ります。山東省は儒教の始祖である孔子と、書道の大家である王羲之の故郷として知られています。また、中国の五岳の一つである泰山もここにあります。泰山は、中国の古代文化と宗教にとって神聖な山で、多くの歴史的な建物や石碑が残されています。私は日本に留学に来る前、ほぼ毎年の夏休みに、家族と一緒に泰山に登りました。泰山の標高は1,545メートルで、頂上まで登るのに約6時間かかります。山頂には泰山の守護神、中国の道教の女神である碧霞元君(へきかげんくん)が祀られています。碧霞元君は山東省で最も人気がある女神で、一般に「泰山奶奶」(たいざんナイナイ)(泰山のおばあちゃん)とも呼ばれています。みんなは、泰山のおばあちゃんに願いをかけると、その願いが叶うと信じられています。さらに、山東省はいつも青島ビールの生産地として広く知られています。青島ビールは、国内外で人気があり、青島の誇りでもあります。普通には、この写真のように、ビールが瓶や缶に入ったのですが、青島では、新鮮な生ビールがビニール袋に入れて販売されているのも、地元ならではのユニークな文化です。
私は今、文学研究科の日本語学日本文学専攻に所属しているが、実の研究分野は東洋史学の一分野である書道の歴史です。現段階では、近世の日中書道史について研究しております。卒論は「江戸時代における「碑学」の受容」というテーマについて考察いたしました。今ほど、日本では中国の書風の受容に専念してやっていますが、来年からの博士課程では、明治時代における日本において勃興していた唐様の書がどういう風に中国の書壇に逆に影響を与えたのかについて考察したいと思います。
二年前に、私はより良い学術環境で、より高度な学問的訓練を受けたいと思い、日本への留学を決めました。指導教員の下でしっかりと学問を追求したいという希望がありました。しかし意外なことに、学問や研究以外にも、この2年間、広島での生活にとてもよく馴染むことができました。安田女子大学には中国からの留学生が非常に少ないのですが、研究室の日本人の同級生たちはとても親切で可愛らしく、2年という時間を共に過ごす中で、素晴らしい友人になりました。私たちは一緒に頼山陽資料館で資料を調べたり、ボウリングをしたり、神社で参拝しておみくじを引いたり、ドライブ旅に行ったりしました。彼女たちの善意と真心に心から感動し、私もその気持ちを大切にして、今後は日中両国の友好の架け橋となれるよう、微力ながら尽力していきたいと思っています。
次に、学部生時代にボランティアサークルで活動した経験についてお話しします。ロータリーの「社会奉仕」の精神に触れるたび、私は大学時代に参加していたボランティアサークル「緑萌社(リョクモウシャ)」を思い出します。私は中国の大学に通っており、学部1年生から3年間「緑萌社」というボランティアサークルに所属していました。このサークルでは、社会貢献活動と学内の貧困学生支援の二つの活動を行っていました。
中国の大学には、家庭の経済状況が厳しく、学費や生活費を賄うのが困難な学生が少なくないです。ですから、「貧困学生」「貧困生」はこれらの学生たちを指します。そのため、「緑萌社」の私たちは、学内のアルバイト、国家奨学金などについての情報を収集して学生さんたちに共有します。また、学校の担当部門と連絡して貧困学生に対してアルバイトの紹介や、財団の奨学金選考活動を支援していました。
一方、社会貢献活動としては、貧困地域の学校への「支教」(支援教育)と古着の寄付という二つの主要な活動を行っていました。「支教」といのは教育事業を支援することです。大学がある杭州周辺の農村部には、出稼ぎ労働者の子どもたちが通う学校があります。これらの学校は、僻地にあるため教師が不足しており、一般に進学試験対策中心の教育しか受けられず、伝統文化や美術、音楽といった教養教育が欠けています。そのため、サークルのメンバーたちは毎週水曜日の午後に交代でこの学校に行き、支援教育を行っていました。
また、古着の寄付活動についてですが、中国は発展途上国であり、特に西北部の山間地域にはまだ経済的に困窮している場所が多くあります。西北部は内陸に位置し、冬は非常に厳しい寒さに見舞われます。そのため、寒さをしのぐための服を買えない人々も存在します。そこで、私たちのサークルは毎年初秋に、大学内で古着の寄付活動を行い、学生たちが着なくなった服を中国西北部の甘粛省に送るというプロジェクトを実施していました。これにより、無駄に捨てられるはずだった衣服が有効活用され、必要としている人々に届けられたのです。
このサークル活動に参加した2年間は、大学生活で最も充実した時間でした。サークルの広報部に所属していたため、ポスター制作や企画書作成などのスキルも学ぶことができ、自分自身の成長を感じることができました。
最後に、米山奨学生になってからことについてお話させて頂きたいと思います。
ロータリーの世話クラブとカウンセラー制度を通じて、私の日本での留学生活を豊かになりました。毎月、世話クラブの広島中央クラブの例会に参加し、立派な社会人であるロータリアンのみなさまと交流する機会があり、日本文化や日本社会への理解をより深まりました。特に、カウンセラーの西川さんと、長場先生、好永先生、山本さんを始め、広島中央ロータリークラブの皆様には大変お世話になっており、誠に感謝しております。私に歓迎会を開いてくださったり、渋谷さんのところで火鍋を一緒に楽しんだり、大坂さんの船を乗って海釣りに行ったりと、日本の方々の温かさと親切さを強く感じました。異国の地でこのような心温まるお世話を受けることができ、本当に感謝しております。
今年、私は修士課程の二年目に入り、卒論の完成に向けて努力していると同時に、博士課程の入学試験や研究計画書の準備も進めています。この半年間は非常に充実していますが、忙しい日々を過ごしており、アルバイトの時間がなかなか取れなくなりました。このたび、ロータリー米山記念奨学金をいただいたおかげで、経済的な支援を与えてくれ、学業と研究課題に専念することができ、誠にありがたいです。
また、米山奨学生になって、米山学友会研修旅行と米山記念奨学生研修旅行に参加し、伊勢神宮や出雲大社を訪れました。研修旅行では、日本の歴史や伝統文化に触れることができ、とても貴重な体験となりました。また、他の奨学生たちと熊野古道をハイキングし、安芸高田市の「IHANA」で日本のグランピングを体験し、皆さんと一緒に楽しかった時間を過ごしまして、様々な国の奨学生と話しがあって、友達ができました。
ロータリアンの皆様には、いつも本当にありがとうございます。今回は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。