第1919回例会 会員卓話「六度目の干支を迎えて」
六回目の干支を迎えました。今年はトラ年で、こともあろうに私の干支であります。次に干支を迎えるのが何と八十四歳のとき。スキーのジャンプで言えば、K点を超えて危険水域に踏み込む心境です。
振り返って、十二年ごとに訪れる干支のその年に何かを強く決意したり、新たなことを始めたとかの記憶はありません。気学の先生に言わせると、干支が当人の人生に及ぼす影響は殆どないとのこと。頷ける話です。星座や血液型の方が強い要因を持っているのかも知れません。
ご存知のようにトラは肉食動物です。私も肉類が好きですが、馬齢を重ねるうちに咀嚼力が落ち、今や干支に相応しい人間とは言えません。張子のトラみたいなものです。死して皮を残すトラでありますが、私の場合、死して義歯を残す程度のものでしょうか。暫く前まで十万頭もいたトラも現在は三千頭程度。急速に数を減らしています。絶滅するのが早いか、私が消え入るのが早いか、そんな状態になっています。
さてさて、そうは言っても限りある人生。残有時間をわたくし流で過ごしたいと思っております。無駄を楽しみながら、森羅に気負わず、万象に逆らわず、淡々と。南無。
通谷 章